大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

しりべた・けつべた・飛騨方言

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しりべたはお尻を意味する方言として、全国からのネット発信があります。 古語に由来することばです。 古語辞典の記載では、尻臀の漢字を当てて、しりの部分でも肉の多い部分を示し、 しりこぶた、しりたむら、しりたぶらとも言うとあります。

あくまでも推察ですが、 まずは、しりたぶら>しりたべら>しりたべ、と変化したのでしょう。 そしてある時にしりたべ>しりべた、と変化したのです。 例えばサザンカという花があります。山茶花です。 元々は、さんさか、だったのです。 それを上代に言葉の遊びで、ささんか、と言うようになり、 終にはサザンカになってしまった例えと同じ現象でしょう。

飛騨方言では、共通語・しりもちをつく、が、しりべたをつく、という表現になる事があろうかと思います。

また、飛騨方言では、しりのことを、けつべた、とも言います。しりっぺた、とも言うでしょう。 けつべたは、古語辞典にはなく、新しい言葉 である事がわかります。しり、と同じ意味の言葉で、けつ、が生まれた後に、しりべたの連想で、けつ、を けつべた、と言う様になったのだと考えられます。けつべた、は飛騨方言以外には福井方言に見られます。

つまりは飛騨地方では、もともと、しりべた、が話されていた所へ、 (1) けつべた、が新たに創作されお隣の福井にもたらされたのか、 (2) お隣の福井から、けつべた、が輸入され、普及するようになったのか、 いずれにせよ、飛騨ではこれら二語、しりべた・けつべた、が共に話されていますが、 意味の差も、使い分けも特にはないように思います。

正統の、由緒ある飛騨方言を話そうと思えば、勿論まようことはありません、 古い言葉ほど価値が高いと考えるのならば、しりべた、と言うのがよいのでしょう。

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