大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 文法

終助詞・ぜ、と終助詞・ぜな、の使用制限

戻る

飛騨方言における終助詞・ぜ、ですが、共通語と同意で、 文末に添えて念を押し意を強める語、主義・主張を表す語です。 男性が用いるぞんざいな言い回しという面も共通語と同じです。 この終助詞・ぜ、に一語・な、をたした言葉・ぜな、は女性言葉になります。

表題の如く、ぜ・ぜな、両者に共通する使用制限とは疑問文に使用できないという点です。 なんやぜ、といえば、なのだよ、という意味の男性言葉になり、 なのかなあ、という疑問文の意味はありません。 なんやぜな、といえば、なのだわ、という意味の女性言葉になり、 なのかしら、という疑問文の意味はありません。 別稿終助詞(えな・ぜな)の用法の差異 も参考にどうぞ。

さて、共通語終助詞・ぜ、は辞書によりますと、ぞえ・ぞい、が転じた言葉のようです。 また古語辞典によりますと、連語・ぞい、連語・ぞいな、の説明は 断定や疑問の意を穏やかに示す、親愛の気持ちをこめて念を押す、または疑問の意を表す、 となっています。(なう、何事でござるぞいな。狂・内沙汰)

つまりは古語においては断定、疑問等複数の意味で使用されていた言葉(助詞、連語等)が意味が整理され、 あるいは断定というひとつの意味に集約されてくる事、 つまり表音文字が表意文字そのものになる事、が (飛騨)方言の特徴という事のようです。

ページ先頭に戻る