大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 文法

飛騨方言文末詞・まいろ

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勧誘の意味の助動詞特別活用(特活)・まいか に関連するのですが、 文末詞・まいろ、は、一重否定・まい(終止形)+推量の助詞・ろ、 の複合語であり、〜ではないでしょう、という意味に なります。接続は四段も含めすべて未然形です。 例文ですが、
   飛騨    意味   
四段 かかまいろ 書かないだろう
上一 みまいろ  見ないだろう
下一 寝まいろ  寝ないだろう
カ変 こまいろ  いかないだろう
サ変 せまいろ  しないだろう
サ変 しまいろ  しないだろう
最近は方言は廃れつつあり、飛騨方言においても、 書くまい、という言い方が増えてきているのでしょうか。

飛騨方言の一つ困った点は、かかまい、といった場合は 正反対の二つの意味にとれると言う事でしょう。 ひとつは、 書く事はあるまい、という一重否定の意味です。 もうひとつは、かかまいか、の略で、書く事をしないと言う事が あるものか、という二重否定、つまり肯定・勧誘・推量(書きましょう) という意味です。
    飛騨    意味   
 四段 かかまい。 書くまい。
    かかまい。 書きましょう。

 今日ぁマイカーやで、のままい。
 (=今日はマイカーだから、のまぬ事にしよう。)

 今日ぁタクシーやで、のままい。
 (=今日はタクシーだから、のみましょう。)
但し、〜まいろ、は二重否定+推量というひとつの意味しかありません。
 今日ぁマイカーやで、のままいろ。
 (=今日はマイカーだから、のまないでしょう。)

 今日ぁタクシーやけど、のままいろ。
 (=今日はタクシーだけど、のまないでしょう。)
まいろ、の逆の意味は、終止形+ろ、になります。
 今日ぁマイカーでゃないで、のむろ。
 (=今日はマイカーではないから、のむでしょう。)

 今日ぁタクシーやで、のむろ。
 (=今日はタクシーだから、のむでしょう。)

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