大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 音声学

母音の無声化 unvoiced vowel

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私:母音の無声化は方言の音韻変化の解釈に必須の知識。以下の如く、当サイトでは繰り返し取り上げて来た。以下をザアッと読んでいただいたと仮定して、次のお話にしたいが、別にお読みくださらなくとも当記事で読み切りの内容にはなるのでご安心を。
母音の脱落
大阪方言の見破り方
ヴォイス voice
日本語アクセントの音声学的解釈
母音の無声化する拍とアクセント
女性のための話し方
飛騨方言には存在しない音韻
飛騨方言の母音交替
パパは坂田
無声化母音と飛騨方言指示代名詞「あすこ」
富山方言と飛騨方言の音韻の違い
しんばれ(しもやけ)
サ行イ音便
サ行イ音便・その2
サ行イ音便が廃れつつある理由
サ行動詞連用形イ音便の諸相に関する一考察
子音の脱落
日本語史エヴァンゲリオン [古代日本語→未来日本語]

君:では、読み切り内容でお願いね。今日のテーマは?
私:昨日は飛騨方言こっともない、のお話をした。実は、こみっともない、という音韻から「み」の音韻が脱落しただけのお話なのだが、どうしてそんなことが生ずるのか、という謎解きのお話だ。
君:つまりは「み」が脱落するのは母音の無声化が原因であるという事ね。
私:要はそういう事。母音の無声化と言われてピンと来ない人のためにわかり易い説明としては「み」をヒソヒソ話、内緒話で発音する事。これが「み」の母音の無声化。
君:より具体的には「い」という母音の無声化という事ね。
私:その通り。消滅といっても意味はほとんど同じ。つまり無声化母音は聞こえない音なので、聞く側からすれば消滅と同じ。こうやって人から人へと「こみっともない」が伝番するうちに「こっともない」という音韻になってしまう。
君:どうやら母音の脱落する最大の原因が母音の無声化という事のようね。
私:逆に母音が無声化しないのが大阪方言。大阪の人はひとつひとつの音韻をはっきりと発音なさる。飛騨はアクセント圏が東京であり、母音の無声化が多く、つまり口でモゴモゴの発音が多く、音韻は変化しやすい。
君:音声学は人類共通のテーゼ、つまりは声の仕組みそのものを考える学問なので、大阪と飛騨は関係ないと思うけれど。音声学的な考察って、なんだか矛盾していないかしら。
私:うーん、それはやね、母音優位の畿内方言という特徴が母音の無声化を妨げているという事なんやね。
君:多分ね。でも、なによ、そのなんちゃって大阪方言。要は後付けの理論ね。ほほほ

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