大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
尾高と平板 |
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私:強弱(ストレス)アクセントの英語と違い、日本語は高低(ピッチ)アクセントの言語に属し、アクセントは4種類(頭高・中高・尾高・平板)。さて私事で恐縮だが三歳・五歳の僕の孫が日本語アクセントを自由に使い分けている。習うより慣れよ、だが、僕自身が内省していると、単語によっては尾高か平板かわからなくなる事が、時々だが、実はあるんだよ。 君:あら、正直に告白なさったのね。でないと日本国民全員を敵に回していた所よ。 私:尾高と平板を区別するには、ひとつには複合名詞にしたり、あるいは格助詞に接合させ文節として後方成分に接続させたりすればよい。アクセント核が消失すれば平板で消失しなければ尾高。決定的な違いだ。ルールは簡単だが、何回も内省していると、そのうちになんだかわからなくなりアクセント辞典を開く、というのがお定まりなんだ。言いたい意味、分かるよね。 君:つまりは、こういう事かしら。尾高と平板に基本的な違いは無い。 私:そうだね。言い換えると、微妙な違いがある、という事かな。微妙な違いというのはアクセントの滝、つまりはアクセント核が、有るか(尾高、高いピッチ)無いか(平板、低いピッチ)の違いだから、アクセント学的には決定的な違いという事にはなるのだが。という事で論文を一つ紹介。日本語ピッチアクセントの産出と知覚にずれの起こる要因 杉山由希子 (SUGIYAMAYUKIKO) 慶応義塾大学 ・理工学部・講師 研究者番号:70525112 君:念のため、要約してね。 私:杉山先生は正に僕と同じ疑問を抱いておられた。そこで二拍語を用いて周波数分析を行った。・・「と」文ではアクセントの間違い率は19.3%、「が」文では12.1%であり、引用助詞がターゲット語に続く場合は、格助詞が続く場合よりもアクセントの間違いが起こりやすい事が分かった。これは方言学の主張と矛盾しない結果であった。・・ 君:つまりは貴方が考えていた通りの論文が見つかり、思わずにんまりという訳ね。 私:要はそういう事。他の結果としては、尾高と平板の間には音声学的な差は皆無に近かったという事。例えば、語末の完全無声化の差、有声化率、時間長の差、基本周波数(= fO上昇、fO下降)。人がちょいとアクセントを間違える事は日常茶飯の事なのだろう。誰もが日常会話は無意識に行っている。アクセントを絶対に間違えないぞ、と意気込んで話していたら、それこそ会話が楽しくないだろう。 君:でもアクセントを間違えると俄然、方言っぽい話し方になるというわけね。たかが方言されど方言、人の脳の言語野は相当に高等な情報処理をしているという事なのよ。ほほほ |
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