大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 

低起式と高起式2

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私:京都アクセント「低起式と高起式」をご紹介した。東京式アクセント圏の人々にとっては会得する事は至難の業。
君:ほほほ、今日は其の至難の業の指南書というわけね。
私:いや、個人のアクセント体系は母語の獲得期、つまりは三歳までに完成するので、教育の力は無力だ。今日は、京都と東京のアクセントの違い第二弾の簡単な説明という意味。
君:じゃあ、ひと言でお願いね。
私:うん。東京式は、語頭が高なら第二モーラは低、また逆に語頭が低なら第二モーラは高、つまり多拍であれ何であれ、スタートの2拍のアクセントは高低か低高の二つしかないんだ。
君:つまり頭高だと二拍目以降は必ず下がるし、中高・平板・尾高だと、低で始まり二拍めは必ず高になるという事ね。
私:そう。下がったものは二度と上がらないし、上がった以上は下がらねばならないのも東京式のルール。頭高は二拍目以降は必ず下がりっぱなし。
君:それだって少しは複雑なルールよ。
私:うん。でもこの程度は三歳の幼児が容易にマスターできるレベルだ。そして今日の主役、京都式だが、最初の二拍だけでも、高低(頭高)・低高(平板・尾高)・高高(高起式)・低低(低起式)、つまりは五種類ある。三拍以上では更に中高が加わり、最初の二拍のパターンは六種類に増加する。それに多拍では下がり目、つまりはアクセント核がどこか、という問題が生じ、つまりはパターンは幾何級数的に増加する。これら全てを覚える事など不可能。ただし京都の幼児はどうして難なく京都式を話すのか。非優位大脳半球にアクセントパターンが刷り込まれていて、優位大脳半球の言語野と連携して京言葉を話す。
君:最初の二拍が、東京式は2パターンで京都式は5(6)パターンね。でも京都の幼児が皆、東京の幼児より言語能力にたけているという意味ではないわね。
私:ははは、その通り。ただし、2パターンで生まれ育った飛騨の人間が京都式5(6)パターンを教育の力、つまりは努力でマスターするのは不可能。一言で表現すると、そもそもが頭の構造が違う。
君:確かにね。そして若しかして京都の人は東京のアクセントを簡単に会得できるけど、それは京都人のプライドが許さないというわけね。それに幾ら東京式を練習なさっても京都式がポロリと口から出てくるわよ。ほほほ

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