大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 文法

仕舞うのアクセント考

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名古屋方言・飛騨方言の独特の言いまわしに、〜てまう(=〜してしまう)、があります。 大阪方言の言い回しを名古屋・飛騨では東京式アクセントで発声するのです。 さて、飛騨方言でも共通語・仕舞う、を用います。 勿論、東京式ですが微妙な点がどうもあるようなのです。

仕舞うの語源は商売からのようです。 古語辞典(仕舞ふ・他ハ四(他動詞ハ行四段))・国語辞典(仕舞う・他四)・日葡辞書(Ximai, Ximo, Ximota) などを見ると近世語のようですね。

そして三省堂アクセント辞典ですが、しまう○●●、との記載です。 また、内省しますと飛騨方言のアクセント(=飛)はどうも共通語(=共)と異なるようなのですが。 例えば
共 泣いてしまう  ○●●●●● (泣いちゃった)
共 泣いて、しまう ○●●、○●●(泣いた後に、何か物を片付ける)
飛 泣いてしまう  ○●●●●● (泣いちゃった)
飛 泣いて、しまう ○●●、○●●(泣いた後に、何か物を片付ける)
飛 泣いて、しまう ▼○○○●● (泣いた後に、何か物を片付ける)
飛 泣いてしまう  ▼○○○○○ (泣いちゃった)
飛 泣いてまう   ▼○○○○  (泣いちゃった)
結論としてはたったの一文に要約できましょう。 〜しちゃう、という意味の下がり調子しまう○○○は、飛騨方言には有るが共通語には無い。
おまけ:日葡辞書に Connichi yo ximota こんにち・よう・しもうた (=今日は私はうまい具合にいっている)  yoi ximaiuo xita よい・しまいを・した(=私に都合よく運んだ) の文例が記載されています。ふーむ、当時から若い男女の会話で、私達はおしまいね、 などと言う用法があったのでしょうか。

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