大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 地名考

まんごく(万石)

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私:僕の生まれ育った高山市久々野町大西(旧大野郡久々野町大西村)の数キロ上流に、まんごく万石、という集落がある。高山市朝日町万石。
君:あら、由来が分かったのね。
私:うん。例によって調べた資料は平凡社郷土歴史大辞典(21巻岐阜県の地名)、角川岐阜県地名大辞典、この二つ。
君:手短にお願いね。
私:うん。由来は江戸時代に発明された画期的な農具・万石通しによる。この村に万石通しの制作に秀でた者がいて村名の由来になったとの記載がある(後風土記)。ただし、後風土記と言う部分が問題。これは日本史で学ぶ風土記とは似て非なるもの。風土記は奈良時代に諸国が地勢を天皇に献上した書物。完本は出雲国風土記のみ。斐太国風土記は写本すら無い。

君:ほほほ、真偽は不明にしても万石という言葉そのものは江戸時代からよね。加賀百万石とか。万石とは量目とか知行高の一万石に相当する数詞だわよね。
私:その通り。万石通しは篩(ふるい)の一種だが、網目斜面をザアザアと滑らせることにより、振る必要が全く必要なくなった。当時の画期的な発明だったんだ。
君:地名は江戸時代から、これは間違いないわね。
私:その通り。全国に万石の地名が散見される。岐阜県は大垣市万石と合わせて二つある。地名・万石の全てが万石通しに由来するかは不明だ。
君:話がそれるけれど、東京の地名・千石は千川と小石川からの合成地名だそうよ。ほほほ

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