大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

にんぐ、にぐ、わらにんぐ、わらにぐ

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飛騨方言にんぐの表記ですが、 にぐ、と記載してある書物が見られます。またにんぐ、およびわらにんぐは 早口で発音しますと、それぞれにぐ、わらにぐとなります。 従って結論としてては、どのような表記も正しいという事になります。

さて、にんぐとは野辺でわらや干草を積み上げ貯蔵する方法の一種です。 平地では、たとえば土手、ないし太めのあぜの場所にわらのにんぐ、わらにんぐを作ります。

またあるいはにんぐの語源は荷具でしょうか、あるいは例えゆっくりとした発音であっても 若しやにぐ、わらにぐと言われる方もありましょう。従ってこの点からも、いずれの表記も 正しいとも考えられます。

がしかし、私の言語感覚ではにぐとはにんぐの事を指し、にんぐとは にぐの事を指すと考えにくいので、上記書物と若干の見解の相違が あります。また、もとより飛騨のどの地方でにぐが話され、あるいはにんぐが 話されているのか資料があろうはずもありません。

実は平成の世、現代においては農山村の生活様式も変化し、これらの言葉はすでに死語となりつつある のかも知れません。しかしながら私は必ずや、美術館で農山村の水墨画を見る時、 おっ、にんぐが描かれている、とつぶやくでしょう。 また、にんぐとにぐ、どちらの語が古い言葉なのか興味のある話です。

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