大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

いご・飛騨方言

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俚諺副詞のようです。 ネット情報は皆無に近く、古語辞典等々にも記載はありません。 意味は、それほどは、そんなに、あんまり、という事で 物事、量、事態等々が完全でない様を示します。 発音は前者です。ご、は必ず鼻濁音無しで発音します。 い、にアクセントがあり、ご、を鼻濁音で発音しますと、 囲碁、の意味になります。 また、この副詞は、以後、と同じ発音(い、にアクセント+ご、は鼻濁音無し)ですが、 以後という意味は全くありません。 また、それ以後、等々の複合語がありますが、 この俚諺副詞は必ず単独で用いられます。 他の品詞と共に複合語になる事はありません。

文例ですが、 ▼はらがいたいで、いご食べれん。 (=お腹がいっぱいなので、そんなに多くは食べられない。) ▼ぜにを使ってまって、財布にゃいごのこっとらん (=浪費してしまったので財布にはそれほど残っていない。) ▼あいつぁいご挨拶もせずに、えろうはよう帰ってまった。 (=あの人はきちんと挨拶もしないで、随分と早く帰ってしまった。) ▼たかそやな!いごせんぞ。たった五百円や。 (=値段が高そうですね!そんなにしませんよ。たったの五百円です。) ▼いご勉強せなんだもんで期末ぁちょっとわるがった。 (=身を入れて勉強しなかったので、期末試験の成績は少しよくなかった。) などになります。

以上の文例から明らかなもう一つ重要な点があります。この俚諺副詞・いご、は必ず否定の文章に先行する、 つまりは必ず、いご〜しない、という係り結びになっているという事です。 つまり、いご食べれん(=そんなには食べられない)、とは言いますが、 いご食べれる、とは言いません。若し言えば、以後はたべられる、つまりその後は 食べられるという意味になり、別の副詞になってしまいます。

つまりは副詞・いご、の意味は、いくらも(幾らも)、に他なりません。 幾らも、が語源なのでしょう。
参考文献  飛騨俚諺副詞・いご、の発見物語

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