大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

飛騨俚諺副詞・いご、の語源発見物語

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昨日ですが、飛騨で報恩講があり出席しました。 つまりは出席者はじいさん、ばあさんばかり、飛騨方言の オンパレードです。このサイトを始めてから、 飛騨方言の記事を書く事が日課になってしまい、 取材旅行の意味でもありました。前置きはさておき、

さて周りがすべてインフォーマントばかりで、 私は内心、未だに当サイトに記載していない単語がないか気をつけながら 彼らとの会話を楽しんだのですが、突然に電撃です。
"あんたにゃいごあっとらんなあ。 ひさしぶりや。"
と声かけられた私、副詞・いご、を久しぶりに聞き、不肖佐七辞書に 記載していなかった事に気づかされたからです。 意味は、"あなたには以後あっていませんね。お久しぶりです。"では ありません。以後、という意味は毛頭ありません。 そんなには、という意味なのです。いごあっとらん、とは、しょっちゅうは 会っていない、という事なのです。

問題は語源です。 帰宅してネット検索、字引き漁りをしましたが情報無し、 俚諺らしい事は感激ですが、となると一方、語源を なんとしても自力で見つけねばなりません。

さて、今まで数々の飛騨俚諺について自分なりに納得のいく語源を 考え出してきた若干の経験が今回ばかりはものをいいました。 まずは発音です。といってもたった二拍の副詞・いご、 アクセントは前者であるから、やはり語源は
い+(何か訛ってしまって最終的に、ご、となった音)
としか考えようがありません。 また意味が分かっている以上、文例は何十通りでも作れますが、 ここはひとつ簡単に、食べられない、という文例でいきましょう。 つまりは、い+(カ行ではじまる数語)+たべれん、 という日本語の言い回しで、そんなには食べられない、という意味になる 言葉を思いついてやろうという大胆な試みです。

それでも数分、内省していて気づいたのが、いご、とは、 いくらも、という事。なるほどそうだったのか、 意外と速く思いついたぞ、幾らも食べれん。 つまりは
いくらも --> いくも (ラが脱落)
いくも --> いこう (延言)
いこう --> いこ (短呼化)
いこ --> いご (濁音化)
であろうというのが筆者なりの見解です。 私の舌がそうなってしまっていますので、 何度内省してみてもこの結論は変わりません。 私にとってはこの説は極めて真実味があるのですが、 果たして皆様がご納得してくださるやら。

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