大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

おく

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飛騨方言動詞ですが、臆(おく)する、やめる、中止する、踏みとどまる、ちゅうちょ(躊躇)する、などの意味で用います。語源は、古語辞典の通りですが、措く、擱く(他動詞カ行四段活用)でしょう。現代語に同根の言葉では、心おく、と同意だと思います。つまりは〔「心おく」の形で〕心に隔てをおく、即ち、気兼ねする、の意味になります。現代語としても古風な言い方、例えば、感嘆おくあたわず、などは、飛騨方言・おく(=中止する)と同意でしょう。(素晴らしいので)感激を中止する事ができない、感激しっぱなしです、という最大限のほめ言葉でしょう。

飛騨方言・おく、は、おきた、おきて、の二つの活用は必ずイ音便化して使用されます。また、あ・い・う・え、の活用はありますが、お、の活用は存在しません。
"もう、おかんかいな(もうやめましょう)"
"そんなこと、おきないよ(そんな事やめなさいよ、女性表現)"
"はや、おいたさ(もうそんな事はやめておきますわ)"
"おいとく(=おきておく、つまり、やめておく)"
"昼やで仕事おくぞ、飯や。(=昼だから仕事は中止です、ランチです。)"
"そんなこと、おけよ(そんな事やめろ、男性表現)"
"それは、おこう。"というフレーズは飛騨方言としてはあまりにも不自然で、実際には、使用されないでしょう。少なくとも私は使用しません。やめておこう(ちょっとしたシャレです、気づいてね)、という意味では、他にいくらでも飛騨方言の言い回しがあり、 例えば、
おいとかんかな(=やめておかないかね)、
おいとかまいか(=やめてしまわないか)、
おいたほうがええぞ(=やめたほうがいいよ)、
などの言い回しが自然な表現です。

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