飛騨方言では他動詞・植える、に対する自動詞・うわる、があります。
アクセントは、植える・うわる、共に平板三拍です。
自動詞・うわる、の意味は従って、植えられている状態である、になります。
人が田に苗をうえる、と同意で、
(人の手で)苗が田にうわっとる(=うわっている)、
のように用います。
また他下ニ・植える、であるものの、これを可能動詞化
した意味でも用いられるようです。
例えば、
こんな小さい田は、おりひとりでも苗ぁうわる。
意味は、こんな小さな田なら私一人でも苗が植えられます、という事。
自動詞の意味なのか、可能動詞の意味なのかは、
用例によって自ずから決まるでしょう。
うわっとる、というフレーズを、植えられる事が可能の状態でいる、
と解釈するのは明らかに無理です。
また例えば、
こんなやせた土地にゃ何もうわらん。
といえば主語は省略された体言、つまり、どんな作物も、
であり、意味は、植えられない、つまりは、せっかく植えても収穫は期待できない、
という意味で決まりです。
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