大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

朴葉味噌・ほおば味噌・ホオバ味噌に足すことの"ねぶか"

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飛騨人がお袋の味、あるいは郷土の味と聞かれたら、朴葉(ほおば)味噌、と、すかさず答える人が圧倒的に多いのではないでしょうか。今、ネット検索しますと、"朴葉味噌"で六千件弱、"ほおば味噌"で二千件弱、"ホオバ味噌"で千件強、"朴葉焼き"で八百件弱ヒット、後はキーワードだけですが、朴葉みそ、朴葉ミソ、ほおば味噌、ホオバ味噌、ホオバ焼き、等々、きりがないのですが、表記の多様性というか青息吐息です。これがまあなんと大半が飛騨からの発信であり、飛騨の人の"朴葉味噌"に対する思い入れが半端なものではない事がよくお分かりでしょう。

飛騨の観光としゃれ込み、旅館で郷土料理ともなるとやはり、お定まり料理として朴葉味噌が出ますので、実は上記の"朴葉味噌"で六千件弱ヒットするのも大半が料理メニュー案内情報のようでした。勿論、ついで個人の旅日記などになります。方言考察はあるいはゼロかも知れませんが、なにぶんにも莫大なネット情報になりますのでお手上げです。がそれではしかし、方言サイトの名折れです。かといって、"朴葉"も"味噌"も共通語、ふーむ。

さて今でこそ、飛騨観光でのお定まり朴葉味噌料理にはネギのほか、やれ、飛騨牛だの、細かく刻んだ椎茸、山菜、季節の野菜、魚介類など、様々な具だくさんの食材が出されるでしょうが、勿論それは私・佐七のお袋の味ではありません。やはり、私にとっては単に味噌とネギのみ、あの香ばしい味噌のこげ味そのものです。

そして再び、何千件とも知れぬ"朴葉味噌"ネット情報の方言考察ですが、具に着目する事により思わぬ突破口がありました。ネギを飛騨方言で"ねぶか"というのです。ねぶか味噌で五件ヒット、思わず感涙、押しも押されもせぬ飛騨方言です。調子に乗って、ねぶか朴葉味噌、朴葉ねぶか味噌検索ではヒットゼロでした。暇つぶしにこんな事をしている人間は佐七以外にはいないという事をひしひしと感じさせる非情な数値です。

このねぶか味噌でヒットするサイトのひとつが「讃岐紀行」でした。同所の"五季の旬暦"の項目の春篇にねぶかの説明があります。そう、ねぶかは飛騨と讃岐の共通方言なのです。ねぶか+讃岐でネット検索しますと数百件ヒットしますが、今ではほとんど使われない言葉と書いてあるサイトもありました。ただし、朴葉では焼かないようです。なんといっても讃岐うどんの具のようです。

締めくくりとしては、ねぶか味噌こそ飛騨方言なれど、悪しき観光主義、(飛騨牛入り具だくさん)朴葉味噌が有名すぎて、今はもうねぶかの具だけで朴葉味噌を素朴に味わう人はいない。ひとり私のみが今度帰省したら、ひたすらお袋の味・ねぶか味噌をはらがてきない(=おなかが苦しい)ほど食いっからかして(=食べまくって)きます。

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