大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

ほかる・ほかっとく・飛騨方言

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捨てることを飛騨方言で「ほかる」といいますがネット情報によりますと、愛知・飛騨・富山・石川・松本など、中部地方及びその周辺で広く使用されている言葉のようです。金沢では「ほっかる」というようです。同じ意味で関西方言の代表的な言い回しに「ほかす」があるようです。遠州では「ほかしなげる」というようです。

さすがに、ほかす、は古語辞典に記載があり、他動詞サ四、馬琴・八犬伝・"海にほかされしは〜"、 の如く使用されていたようです。中部北陸方言「ほかる」は勿論、関西方言「ほかす」と同根なのでしょうなのでしょう。また、「ほかす・ほかる」の語源は、岩波・ほかし[放下し]【四段】<ハウカ(放下)シの転>が語源のようですね。ほかし[外し]【形シク】・別である・異なる、の単語がありますが、(外、そと:万葉集 17-3977)、語源とは関係ないようです。

蛇足ながら、関西方言ではサ行動詞連用形はイ音便の傾向が強く、ネット情報としては「ほかいて」「ほかいとく」等々が相当数ヒットします。ところが飛騨方言では、共通語文法と同じくラ行動詞は促音便になりますので「ほかって」「ほかっとく」等の表現になりまし、両語をキーワードにネット検索しても相当数の方言サイトがヒットしますが、中部地方及びその周辺のみのようです。「ほかる」が話されている言語圏は人口中心としては名古屋でしょう。がしかし、その面積中心のようですね。ただし方言周圏論に従い、畿内方言が東海・北陸に伝搬したという事なのでしょう。

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