飛騨方言の名詞に、かかれ、があります。
いい加減、あてずっぽう、という意味でつまりは良い意味の言葉ではありません。
アクセントは三拍目、○●●、です。
名詞単独で用いられる事もありますが、
終助詞ととに形容動詞的に、かかれや(=いいかげんだ)、と言う事や、
かかれな(=いいかげんな)、と副詞句的に用いられる事もありましょう。
また、几帳面すぎて無駄に精を出してお見えの方に一言、
そんね精だいでやらんでも、もっとかかれで
ええながいな。
(=そんなに精を出しておやりにならなくても、
もっと手抜きでいいのですよ。)
という事もよくありますので、あながちに悪い言葉とは決められません。
語源ですが、言葉につまってしまいます。古語辞典を複数あたりましたが、どうも俚言のようです。
ただし長野方言、伊那・上田地方では、けころ、という名詞があり
全く同じ意味、用法のようです。つまりは飛騨方言・かかれ、
長野方言・けころ、は同根ではないかと考えたくなってしまいます。
隣県である事、発音が似ている事、意味は全く同じ、と
三拍子そろえばそのような考えに陥るのは
筆者のような民間語源、つまりはアマチュアとしては
いたしかたない事です。
そしていよいよ佐七節ですが、けころ、といえば
たちどころに思い浮かぶ言葉が、名古屋弁・ええころかげん、
でしょう。意味は全く同じです。畢竟、ずさんな心、という事です。
ええころかげん、の語源はおそらくは、良い+こころ+加減、でしょう。
長野方言・けころ、の語源は 怪+こころ と考えたい所です。
かかれ、けころ、ええころかげん、三者とも同じ意味の
中部地方方言なのだからつまりは、怪+こころ、が飛騨では、
かかれ、に訛ったと考えられなくもありますまい。
ただし、あくまでも佐七節。
なんともはや救いがたいのがアクセントの面ですね。
こころは○●○、かかれは○●●。
つまり完全に外れている可能性もあり、
若しそうならごめんなさい。しゃみしゃっきり。
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