大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

かす(サ行四段他動詞語尾)

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飛騨方言に特有な言い回しではありませんが、 サ行四段他動詞接尾語ともいう言葉です。 動詞、特に自動詞の未然形に接続して他動詞を作り、また 使役的な意味を添えます。 そのような状態にする、という意味があります。 古語辞典に記載があり、はしらかす、まどはかす、わらはかす、等々の 文例があり、平安文学から江戸滑稽本に至るまで広く 用いられているようです。 飛騨方言にも多く、不肖・佐七辞書には、
あまらかす、いごかす、いざらかす、いたまかす、いのかす、うしなかす、 うしならかす、おくらかす、おこらかす、おこりっからかす、 かっからかす、くさらかす、くつばかす、けっからかす、 こぼらかす、こまらかす、しおらかす、すべらかす、だまくらかす、 だまらかす、とんがらかす、にわらかす、ぬらかす、 のうならかす、はならかす、はやらかす、ひやかす、 ふけらかす、ふとらかす、ふわかす、へらかす、やらかす、 やりからかす、わらかす、わらわかす
等を 記載しています。 また、共通語にも、例えば、たぶらかす、かどわかす、やらかす、などの他動詞があり、あまりいい印象がありません。 意に反して何かをしてしまうという意味の動詞語尾のようです。 勿論、動く・動かす、などの例もありすべて意に反してという 意味ではありません。

動詞の未然形に、かす、を加えると、新しい動詞ができる、 という簡単さは魅力的です。 平安時代から江戸時代まで、時代を超えて日本人に受けいられ続けた理由でしょう。

余談ですが、共通語では更に〜かせる(働かせる)、 〜せる(食わせる)等の言い方もありますね。しゃみしゃっきり。

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