大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

かう・飛騨方言

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飛騨方言では、鍵をかける・ボタンをかける、という場合に、カ行四段動詞・かう、 を用います。アクセントは頭高です。
未然 かわない
連用 かって
終止 かう
連体 かう
仮定 かえば
命令 かえ
鍵をかう、とも言いますし、かぎかう、と複合動詞的に 用いられる事も多いでしょう。ボタンかう、といっても 飛騨方言のセンスにあいます。 別にも用例があり、例えば、鉤づめをかう、 といえば自在鉤の爪をしっかりと固定する、という意味 ですね。また飛騨方言では支柱は、つこ、です。アクセントは 平板です。つこをかう・つこかう、といえば支柱を用いて 物が倒れぬように支える、という意味になります。

帽子を壁にかける、絵を壁にかける、という場合に、かう、 と言う事はありません。 ただし飛騨方言には、ガタガタする机の脚の長さの 不ぞろいを調整するために、紙をかう、というような 言い回しがありますね。 鍵・鉤・支柱・机の敷物、これらに共通する事は物 をしっかりと固定して動かなくさせる、という事に ありましょう。かぎかう、とは鍵のついたその扉を 動かなくさせる、という意味になりましょう。

連用形は東京語に同じく必ず促音便になります。 ウ音便・こうて、は飛騨方言ではありません。

命令形は、男性では、かえ・かえよ、の両者とも 用いられますが、女性は決してこのような言い方はしません。 ただし、老婆が、あるいは母が子に対して、用いる事は 在るかもしれません。 女性の場合、命令表現は、かいないよ、です。 連用形を用いるのです。また、音便も用いられません。 かいなされよ、が元の言葉です。

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