けなるいは古語辞典にあり、異(け)なり=珍しいために素敵である、という形容動詞が転じたようです。
珍しくて素敵だからうらやましい(=けなるい)となったようですが、やはり日常的な飛騨方言です。
"けなるい"は全国各地の方言として残っており、特に中部地方に多く見られます。
飛騨方言の場合は、る、にアクセントがあります。
けなる、が昇り調子で、い、は下げます。
動詞化したことばが、けなるがる(=うらやましがる)、で、る、にアクセントがあります。
けなる、が昇り調子で、がる、は下げます。
大変にうらやましい、うらやましすぎると言う意味で、けなるすぎる、という場合もあります。
この場合は、る、ぎ、の二箇所がアクセントです。
"けなるい"が活用する場合は、ウ音便化するのが普通です。
けなるく思った、とは言われず、寧ろ、けなるう思った、ないし、けなるいと思った、と話す方が大半でしょう。
うらやましく思った、という意味になります。
けなるてしゃあない、といえば、"けなるくて"のウ音便・けなるうて、が更に短縮されて、けなるて、となった会話文です。
うらやましくてしかたがない、という意味です。
うらやましいでしょう、という意味では、けなるいんやろ、と話します。
あるいは、〜らむ、の古語が転じた飛騨方言特有の終助詞・ろ、をもちいて、けなるいろ、という場合もあります。
別稿・けなるいの全国分布
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