新情報を上梓するのに、時には迷うのですが、三分類しています。
飛騨方言として確実であろうものは佐七辞書に、
やや不確定なものはここ一語知識の部門に、
筆者の備忘録はブログに。
さて、筆者が幼い日によく用いていた名詞に、ごた○▼、があります。
意味は、ずるい事・狡猾・悪知恵・浅知恵・不公平・不平等・不条理、
等々、要は悪い意味です。早速にネット検索ですが、長野方言でひとつヒット、
おおっと思いました。意味が同意であった事には思わずニンマリです。
勿論、偶然の一致です。北アルプスを挟んだ共通方言などとは努々思わない事です。
このような概念の品詞、子供の遊び、は方言量が多いという事なのでしょう。
脳裏に浮かぶ大西村の言葉ですが、飛騨全域で話されているかは定かではありません。
さて、ごた、と言えば、微妙な所の後出しじゃんけん。
見破られようものなら、ごたやぞ!やりなおし!と怒鳴られるか、今のはごたやでわりぃの負けや!、
と言われて勝ちを譲るしかありません。
金持ちの子供が自分だけ素敵なおもちゃを買ってもらったとします。
その子は皆から、わりぃだけで遊ぶのはごたや!って言われちゃうわけ。
おっと、おそらく俚言でしょう・ごた、の語源ですが、
事は、が訛った言葉でしょうね。そんなずるい事はないよ、
という意味で、飛騨方言では、そんなこたあねえぞ、と言うのです。
また飛騨方言では非語頭タ行は濁音化しやすいのです。つまり、
そんなごたあねえぞ、ともよく言います。いつのまにやら、ごたあ、
という言葉はずるい事という名詞になってしまった、と言う事なのでしょう。
そして、ごた、という名詞の概念が成立したものですから、ずるい事をする、という意味で、
ごたをする、ごたをつく、などという言い回しも大西村にはありました。
助詞まで省かれて、ごたつく、などとも言いましたね。
まさに同音異義語・ごたつく、です。しゃみしゃっきり。
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