まむし(蝮)といえばクサリヘビ科の三角の頭をもつ毒ヘビで、別名・蝮蛇(まむし)、赤蝮(あかまむし)、
季語辞典には、[夏−動物]とあり、蝮捕り(まむしとり)、蝮酒(まむしざけ)の言葉が思い浮かびます。
さて、幸いなるかな私の家族は一度もまむしに咬まれた事がなく、
村にもそのような犠牲者の方がいた記憶がなく、従って幻の夏の季語、まむしとりですが。
実は、"まむしとり"とは私の村の春祭りでの大事な獅子舞芸能の一曲を意味しますので、
私にとっては春の季語そのものなのです。またところで私が中学生の時代しばらくですが、
大西村の村祭りが突然に秋祭りに変更されていた時代がありました。
ですから、その当時を思い出すと、私にとっては"まむしとり"は、なんともはや、
途端に秋の季語となってしまいます。そして現在に至り再び、春祭りのまむしとりという事で
小学校の思い出に逆戻りです。
獅子舞のまむしとりについては大野郡白川村のどぶろく祭りの際の郷土芸能として有名らしく、
白川村立白川小学校6年松古英也さん
のサイトがありました。白川村は飛騨の端、大西村は飛騨の中央、水系も異なりますが
同じ言葉・まむしとりが用いられる事から言葉のルーツというものを感じます。
わざわざ、このような記事を紹介しますのは、実は旧岐阜県吉城郡上宝村福地では、同じ獅子舞芸能を
へんべとりといい(当サイトリンク集、一単語知識の部)、飛騨の村々でその呼び方、ストーリー、舞い方が
多少異なっているようです。
また飛騨には大祭という伝統があり、何十年に一度、飛騨中の村祭り団が一箇所に会する事があります。
天下の三大祭・高山祭りとてたかがその祭り団のひとつの組という壮大な祭りです。
祭りのなかの祭りといえましょう。また果たして高山祭りに獅子舞・まむしとりは奉納されるのでしょうか。
私は飛騨の大祭を小学低学年の時、飛騨一之宮の水無神社で見た記憶がありますが、
飛騨の大祭というのはどなたにとっても生涯にたった一度、二度のチャンスという事になりましょう。
祖父に手を連れられて見に行った、その時の言葉、"ええか、こんな祭りゃ一生にいっぺん見れるか
見れん位やでな、ちゃーんと覚えとけよ。"
をきちんと覚えていても、肝心の大祭の思い出があやふやになっています。カメラもなかったし。
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