大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

まる・飛騨方言

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飛騨方言のラ行四段活用動詞で、大便ないし小便をする、という意味です。 人にも動物にも用いられます。アクセントは、ま、です。 実は飛騨は東京式アクセントで二拍動詞の多くは二拍めがアクセントです。 まる、のアクセントが異なるのは、この動詞が古語に由来する言葉で ある事と無縁ではないのかも、と筆者なりに考えます。

旺文社古語辞典によれば、まる(放る)他ラ四、大小便をする、とあり、 万葉集16,3853の文例があります。三省堂古語辞典には竹取の文例あり、 おそらくは古代大和語なのでしょうね。興味深いのは日葡辞書には動詞の記載がなく、 共通語としては中世に消滅した言葉のようです。 日葡辞書に記載されているマル Maru は、同じ城郭の中にある城閣、つまり本丸、などの意味、あるいは 朕、つまり国王である私の意味、及び虎子の漢字を当てて、小便あるいは大便を するのに使う容器、です。 はばかり語なので現代語では少しばかり丁寧に、オマル、といいますね。

古語に由来する言葉ゆえ、全国の方言として記載があります。 小学館日本方言辞典によりますと、 岐阜県、愛知県、三重県志摩郡、島根県、福岡県、長崎県、熊本県、 大分県南海部郡・日田郡、とあり、明らかに西日本に多い方言なのでしょう。

古代大和語かもしれない言葉が西日本に多い、 なるほどと納得されませんか、皆様。 と言う事で何とか高尚なお話になりました。 しゃみしゃっきり。

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