飛騨方言・にわる、ですが、にぎわう、という意味の四段自動詞です。
ネット情報が皆無に近く、俚言動詞ではないかと考えます。
古語辞典には、にぎはふ(賑はふ、自ハ四(自動詞ハ行四段))、があり、共通語・にぎわう、に変化した次第ですので、
飛騨方言においては、にぎはふ>にぎはる>にはる>にわる、と別の進化を遂げたのでしょう。
未然 にわらない、にわらん
連用 にわって(=にわりて)
終止 にわる
連体 にわる
仮定 にわりゃ、にわりゃあ(=にわれば)
命令 にわれ
問題は連用形です。
この動詞を名詞化すると、にわり、になりましょうが、実は存在しないことばであると思います。
賑わう事、という意味では、飛騨方言では、普通、にわい、ないし、共通語と同じく、にぎわい、を
用いるのではないでしょうか。以下に例文を。。。
高山祭りは去年は雨で、にわらなんだで、もっとにわりゃよかったけど、
今年はえらい"にわい"で、人でにわってにわって、おおにぎわいのにわる祭りや。
ところが、名詞が、にわい、であるとしても、にわう、という動詞が存在しないのです。
戦う−>戦わない、の例えがあれば、にわう−>にわわない、にわわん、にわん、と活用しても
よさそうなものですが、実際には存在しない活用ですので、
動詞・にわう、そのものが実際には存在しないのです。
飛騨人ならば、流行っていない店をみて、ぱっと"にわらん店"という言葉が思い浮かべられるでしょう。
流行っていない店を"にわわない店"という飛騨人はいないであろうと筆者は確信します。
結論ですが、上記の遊びことば(にわわない、にわわん、にわん、の活用語)は、似合わない、
という発音にあまりにも近いために、
飛騨方言としては成立しなかったと筆者なりに考えます。