すくべですが、わらのす(梳)きがらを示す飛騨方言です。
戦後に強くなったのは女性の権利とパンストといわれた時代もあったのですが、
このような言葉すら死語となっている時代に当の昔に飛騨地方ですら使用されなくなった方言の
話ですから、なんとも早、古い話にはなりましょう。
昭和三十年代、私の幼少期、ゴムの長靴はあったにせよ、厚手の丈夫なソックスというものが
なく、冬季にゴム長靴の底に、わらをくるくるっと捲いて代用としたものです。
わらは自然の状態では結構、硬いので、これをまずやわらかくほぐす、つまりは
髪の毛を櫛です(梳)くように、両手であれこれ、ごしごしとすく、そうする事により
くたくたに柔らかくなったのが、すくべです。アクセントはなく、発音は平坦です。
わらは自然の材料で、いくらでもありますので、毎日ひっかえとっかえ、使い捨てです。
また、これをしないで長らく使用していますと、臭い足にひたすら踏み続けられる
スクベはまさに、現代版オドイーターとなってしまいます。またトントンと長靴を
逆さにして中身を払うと、あれあれ、土のようなものが出てきたり、
なんともはや汚い話で申し訳ありません。
がしかし便利このうえない使い捨てオドイーター・"すくべ"は結構、あったかかったけど。
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