飛騨俚言動詞・ためらう、は共通語の意味・ちゅうちょする、ではありません。
日常会話にしばしば出てきますが、体を大事にする、という意味です。
また、古語動詞・ためらふ、は飛騨俚言・ためらう、とも明らかに異なった意味となっています。
ためらふ、は、たむ、と同根とあり、病苦をこらえる、病勢をやわらげる、興奮した気持ちを押さえる、
涙をこらえる、という意味ですので、病気であることを何とかしのぐ、という意味になりますが、
飛騨俚言・ためらう、は、病気にならないために、健康状態を保つために、気をつける、という意味があることが
大きな違いです。勿論、飛騨俚言・ためらう、を病気・怪我の方に対して、ためらってください、と話すと、
病気であることをなんとかしのいでください、と言う意味になります。
また、こうも考えられるのです。飛騨俚言・ためらう、は、無茶をしないでおく、という意味でも
ありますので、これは取りも直さず、躊躇する、という意味そのものです。
またさらには、冒頭に戻りますが、実は躊躇する、という意味で、ためらう、という言葉を使用することもありますので、
飛騨方言・ためらう、と、共通語・ためらう、の境は実際的には極めて微妙な問題です。
飛騨俚言・ためらう、古語に由来する言葉であるにも関わらず、使用はほぼ、飛騨地方、郡上地方など、
岐阜県の一部地域に限られるようです。また、古語・たむ、が方言として残る地域は皆無のようです。
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