飛騨方言は鼻濁音が存在する地方なので動詞・とぐ、も
鼻濁音の有り無しで別々の動詞になってしまいます。
アクセントは共に同じで、と、です。
鼻をつまんでも音がでれば鼻濁音無しです。
鼻をつまんでどうしても音が出なければ、つまり息が鼻に抜けないと発音
できなければ鼻濁音ありです。
鼻濁音がある場合は、共通語・砥ぐ、の意味になります。
農林業人口がかつては主たる人口、つまりは砥石で鎌を砥ぐ、
あるいは飛騨工・大工さんが道具を研ぐ、あるいは砥ぐ場合には
鼻濁音ありです。
一方、鼻濁音がない動詞・トグ、は説く、解く、溶く、梳く、という意味になります。
つまりはこれらの動詞では活用部分がカ行からガ行になるのです。
例えば(問題を)解がん、解ぎました、解ぐ、解ぐ時、解げば(あるいは、解ぎゃ)、解げ、
と、鼻濁音無しで言えば飛騨方言らしい口調になります。
賢明な読者の方はすぐにお気づきでしょう、
飛騨方言には、このような(異鼻濁音)同音異義語動詞の組み合わせがまだ他にもあります。
例えば、皮をはぐ(鼻濁音なし)・靴をはぐ(=履く、鼻濁音あり)、などです。
もっともこの場合は動詞・はぐ、のアクセントはあべこべです。
皮の場合は前、靴の場合は後ですから、
つまり鼻濁音の有無の意義はあまり問われませんけどね、ふふふ。
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