よったいな、とは飛騨方言で用いられる句ですが、酔ったような、が訛った言葉ではないかと推察いたします。
意味は、おかしな、ふざけた、くだらない、恥ずかしい、等々、所謂、悪い意味で用いられます。
勿論、酔ったような、に通ずるものがあります。
よったいななり、と言えば服装の乱れをいいます。
よったいな文章といえば、独りよがりで何を言いたいのかわかり辛い文章という事でしょう。
よったいな人間、といえば、もう既に、酔っ払っているような人、という意味はありません。
何ともはや生き様が判然としない、ふらふらと過ごしている人、という意味にでもなるのでは
ないでしょうか。
終止形末尾が、う・る、である動詞、つまりは促音便・った、の動詞、を内省しますと、若干がこの用法で飛騨方言の
センスにあう事に気づかされます。
例えば、
いったいなこっちゃった。
つまりは、そのように言ったというような事でした。
かったいなしこや。
なんだかうわさでは、買ったようなご様子ですよ。
きったいなえだぶりや。
切ってある・剪定してあるような枝ぶりだ。
くったいな様子やで、お茶だけだしゃええろ。
どうも食ったようなご様子だから、お茶だけだしておこう。
実は他にも内省すればいくらでも出てくるのですが、
内省実験としては以上、四例程度で十分でしょう。
ところで上方方言に、けったいな、という言い回しがあります。
こちらは飛騨方言・よったいな、とは全く関連の無い言葉で、古語・けたい、に由来する方言のようです。
ところが偶然の妙でした、飛騨方言・よったいな、はまさに上方方言・けったいな、と同じ意味なのです。