大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

すいっちょ・飛騨方言

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久々野町郷土史の方言紹介コーナーに秋の虫・うまおい、 を、すいっちょ、と紹介してありました。 すいっちょ、と鳴くからうまおいは久々野町の 方言で、すいっちょ、です。 ところがこれはどうも出来すぎですね。 文部省唱歌・むしの声、の歌詞がネットに公開されていますが、 その二番の歌詞は
きりきりきりきり、きりぎりす
がちゃがちゃがちゃがちゃ、くつわ虫
あとから馬おい、おいついて
ちょんちょんちょんちょん、すいっちょん
秋の夜長を、鳴き通す
ああおもしろい、虫のこえ
つまり歌詞と全く同じと言う事が佐七が出来すぎと 直感する所以です。 ところでこの童謡・虫の声は 戦前からの相当に古い歌のようです。 この歌が歌われだした頃から久々野ではこの 虫は、すいっちょ、だったのでしょう。 文部省唱歌である以上、明治以降の歌です。 江戸時代の歌ではありません。 さて江戸時代に久々野の方言で、 うまおいをスイッチョと言っていたのでしょうか。 私はむしろそれが知りたい、勿論真実は誰も知る由も無し。 江戸時代に、すいっちょ、と呼ばれていたのか怪しいものですね。 結局は古くは何と呼ばれていた のかはわからないが、明治時代ころから、すいっちょ、 と呼ばれていた可能性は十分にありましょう。 もっと端的にズバリ、この文部省唱歌の歌詞が久々野町 方言になった可能性があると筆者は考えます。

おまけですが、うまおいは浄瑠璃・丹波与作侍夜の小室節、 しいといふうまおひ声も聞かぬはいの、つまり馬子が馬 を追う掛け声に似ている所からきているそうな(吉田金彦、語源辞典)。

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