大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 語源

だちく

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だちく、とは、うまくいく・合点がいく・守備は上々だ、という意味の 四段動詞です。俚言でしょう。 語源が面白いので紹介しましょう。

さて、関係する重要な言葉がありますが、だしかん、です。 意味は、だめだ・よくない、という事で、大阪方言の、あかん、に 相当します。両語は、らちあく・埒明く、が語源であり、江戸時代の言葉です。 飛騨方言では、らちあかぬ>らちあかん>らちゃかん>だちゃかん>だちかん>だしかん、 というように相当な変遷を経た言葉なのです。 一方、大阪方言では、らちあかぬ>らちあかん>あかん、という事で話は単純です。

さて、あかん・だしかん、の反対語を考えて見ましょう。 両語はもともとは、らちあく、の反対語であったわけですから、 あかん・だしかん、の反対語は、らちあく、ですね。書くまでもない事です。 がしかし、江戸時代の言葉・らちあく、は既にすたれ、大阪方言にも飛騨方言にも ありません。大阪方言ではさしずめ、よろしょま・あかんことない、などと言うのでしょうね。 飛騨方言では、だちく、となるのですが、 戦後まで使用されていたのですが、いまや死語でしょうか。

話が回りくどくなりましたが、だちく、の語源は、らち(を)あく、です。 らち(を)あく>だちく、ですが、つまりは、らち(を)>だち(を)、そして、あく>く、と 変化したのでしょうか。 連母音融合のルールを考えると筆者には合点がいきません。 筆者の主張は、らち(を)あく>らちあく>らちがいく>らちいく>らちく>だちく、 のような誤れる回帰から出来た言葉であろう、というものです。

らちがいく、という言い回しは、おそらく、がてんがいく・うまくいく、あたりの 言い回しから類推してしまったのでしょうね。 若し誤れる回帰がなかったのなら、らちあく>らちゃく>だしゃく、という 動詞になっていたのでしょう。

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