かたに、とは、全く・全然・少しも、という意味の副詞句で、必ず打ち消しの用言に接続します。
また同じ意味で、かたから、という事もあります。
例えば
かたにのめん お酒が全く飲めない
かたからのめん お酒が全く飲めない
かたにおもしろうない 全く面白くない
かたからおもしろうない 全く面白くない
かたに・かたから、はともに全国各地に残る方言であり、古語に由来する事は間違いありませんが、
語源は、おほかた(副詞)、であると筆者は直感します。古語辞典の意味は全く同じです。
更には、おほかた、は、おほ・大+かた・方・方法、が語源でしょうか。如何なる手段を用いても、という
ような意味で使われだしたのでしょうね。
これに、接続詞の、に・から、が足して使われるようになり、更には、接頭語の、おほ、が脱落してしまったのでしょう。
つまりは
おほ、かた>おほかた>おほかたに>かたに
おほ、かた>おほかた>おほかたから>かたから
古語辞典では、おほかた、は徒然草に文例があります。
また日葡辞書には ヲゥカタ Vocata の記載がありますから、
かたに、という言葉が出現したのは意外に新しく、
江戸時代あたりという可能性がありましょう。