「負けず嫌い」は「負け嫌い」???
という表題のグループ討議がありました。そして議論中、
差出人:健太郎さんですが(原文のまま)
(略)
まず、「負けず嫌い」の「ず」は否定の助動詞ではありません。
否定の「ズ」が「ニス」の約とすれば、ここでの「ズ」は、意思・決
意を表わす「ムズ」を経てきた約音形です。約音の流れをざっと
示せば、
「ムトス」→「ムズ」→「ウズ」→「ズ」
となります。
「ムトス」は、推量の助動詞「ム」に格助詞「ト」とサ変動詞「ス」
が結合したもので、動詞の未然形に付いて意思や勧誘の意を
表わすものです。「ウズ」は室町時代には「ウ」と共に多用され
ていたものの、江戸期に入ってから急激に勢力を失い消滅の
途をたどりますが、地方の方言にはさらに転じて「ズ」の形で
残りました。
この用法は現在も主に中部地方の方言に残っています。すな
わち、甲斐、信濃、飛騨、遠江、三河、尾張、山梨県などの地
方です。少し例を挙げれば、
1)「寝ず」(寝よう)/意思……静岡県
2)「この花あみず」(見よう)/意思……山梨県
3)「いかずか」(行きましょう)/勧誘……山梨県
4)「けいらずは」(帰りましょう)/勧誘……長野県
5)「寒からず」(寒いだろう)/推量……岐阜県
などです。この「ズ」はまた、「ス」、「ズイ」、「ズン」などにも変
形した例が採取されています。
したがって、この意思・決意の助動詞「ズ」(連体形)を含んだ
「負けず嫌い」の意味は、「負けるだろうと思うことさえも嫌い」
というほどの意味です。
「負け嫌い」を単に「負けるという結果が嫌い」とすれば、「負け
ず嫌い」は、勝負に臨む以前に強い勝気な性格を表現してい
るといっていいかもしれません。
(略)
そして私・佐七の意見ですが、
飛騨方言で負けるでしょうよ、という意味で、負けず、と言う場合は
やはり★終止形でのみ使用されるのではないでしょうか。
筆者が知る限り、終止形以外の活用はありません。蛇足ながら飛騨方言では、むとすも、が転じて、
さむからずも。(寒いのでしょうねえ、上記の例)
と言う事はあります。つまりは接続助詞・も(文を言い切ったところに付き詠嘆、感動を表すの言い)、です。
嫌いという名詞に接続するサ変動詞・負けんとする、ならば・・当然ながら★連用形でなくてはいけませんね。
つまりは、まけんとし嫌い、まけじ嫌い、という言葉があれば飛騨方言に通ずる
言葉になろうかとは思います。
(ところが、負けじ魂、負けまいとする魂、という言葉もありますね。混沌としてきます。)
以上の論点から佐七の主張ですが、つまりは負けず嫌い、は方言表現・むとす、とは関係ありません。
くだんのフォーラムでは大半の方がつい熱くなってしまって健太郎さん説になびいておみえですが私は反対です。
負けず嫌い、は単なる慣用表現でしょう、つまり深い意味はありません。
強いて言えば、負けないぞ、負ける事は嫌いだ、という意味なのでしょう、健太郎さん、あんたの言う事は文法的に無理がある、飛騨方言なんて関係ありませんよ・・・佐七はこのように議論に加わりたかったのですが、むむ残念、2000年の記事でした。
当時の方々よいまいずこ。しゃみしゃっきり。