大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

飛騨方言・のま、に関する一考察

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雪崩(なだれ)のことを飛騨方言で、のま、というのですが、 実はネット検索しますと富山県からの情報発信がありました。 富山弁ゼミナールがそれです。 音声情報もあり、貴重な資料です。ただ今聞いてみましたが、のまる○▼○、のアクセントでした。 従って富山方言ではのま○●なのでしょう。 著者はぬま(沼)○●が転じたものかと論じておられます。なるほど。

といいたいのですが、大問題がありまして飛騨方言では、のま▼○、なのです。
共通語      飛騨弁    富山弁
         フォーラム  ゼミナール(*)
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なだれ      のま▼○   のま○●
雪崩の用言    のま▼○   のまる○▼○
         が来る、襲う
かわらの滑りどめ 滑りどめ   のまどめ
なだれ雪     のま▼○   のま雪
なだれの水    ?      のま水

のむ       のむ▼○   ?
飲み屋      のみや○▼○ ?
のまれる     のまれる
         ○●▼○

盗人       ぬすっと   のすと
ぬま       ぬま○●   ぬま○●
ぬま田      ぬまだ○●● ?
         のまだ○●●
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筆者としては単純明快な論調の富山弁ゼミナールさんが羨ましくてしかたがないのですが、 何故に飛騨方言のアクセントは○●ではなく、▼○なのでしょうか。

上記の表に恣意的なものをお感じでしょう。 私としましては飛騨方言では▼○である以上、なだれというものは (人を)のむ▼○魔物○●●の転じたものではないかとこじつけてみた次第です。

しかしながら飛騨・富山両県にまたがる方言である以上、おそらくは語源は同一に違いありません。 つまりは説得性においては富山弁ゼミナールさんに軍配です。 あるいはまさか飛騨方言はある時代に突然アクセントが逆転したのでしょうか。 あるいはまさか大西村のみが▼○で、実は飛騨・富山両域とも○●という 可能性は無きにしもあらずですか??!! という事で、たったひとつの単語、誰も既に話そうとはしない単語ですが、 奥深いものがあるようです。

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