大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 語源

おかしたいな

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何分にもネット情報が少なく、飛騨人の間でもあまり使われる事 がなくなっている言葉でしょう。意味は、おかしなような・おかしな・ なんだかくだらない、になります。副詞句です。用例は、
くろうて、おかしたいな天気じゃなあ。
 日が暗くて、おかしなような天気ですね。
 今にも雨が降りそうですね。
などになりましょう。

語源ですが、筆者なりに、おかしかったような、が訛った言葉では ないかと推察します。語頭の三拍・おかし、は形容詞・おかしい、の 語幹である事は書かずもがな、問題は残りの三拍・たいな、です。 もっとも、またこの三拍の最後尾・な、は、助詞あるいは伝聞推定の助動詞なり のようなものでしょうね。 早い話が、飛騨方言おかしたいな・共通語おかしな、に 意味の差はありません。

ただし、ただ偶然に二拍のモーラ・たい、が挿入されたと 考える事は無謀でしょう。方言の語源解釈の大原則はモーラの脱落です。 この点は筆者は一歩も譲れません。 従って、筆者は、
おかしかりた −> おかしかった −> おかした
たような −> たいな
と考えざるを得ないのです。

更には。近世語けったいな、が影響を及ぼしたのでしょう。 ただし、けったいな、の語源は、けたいなり、です。また、けたい、の 語源には複数説あり、ご興味ある方はネット検索をどうぞ。 ただし、飛騨方言に、おかしたい・可笑し体、という体言が あった可能性というのはゼロでしょう。

冒頭例に戻りますが、もともとは過去の事象に対して、なんだかおかしい、 という意味で用いられていたのでしょう。 テンスが守られなくなり、やがては未来の事象、天気予報などにも 用いられるようになったのでは、と推察します。

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