大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 語源

しとなる

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飛騨方言でしとねる(=育てる、他動詞)・しとなる(=育つ、自動詞)といいますが、広く中部地方で用いられる方言です。古語辞典における、ひとなる(人成る、自ラ四(自動詞ラ行四段))が語源です。意味は人となる、成人する、育つ、であり飛騨方言と同じ意味です。ただし同音意義語の古語動詞・ひとなる(人馴る、自ラ下二(自動詞ラ行下二段))があり、混同してはいけません。人馴る、は(1)人中の交わりに慣れる、交際に慣れる、ないし(2)動物が人に馴れる、という意味ですが、飛騨方言・しとねる・しとなる、とは関係ありません。

生みの親より育ての親、という諺は飛騨方言では、生みの親よりしとね親(=他動詞・しとねる、の連用形+親)、になります。しとね親が単独で用いられることもあるようです。

問題は、なる、と、ねる、ですが、飛騨方言に、つくなる(=積み上がった状態になる)、と、つくねる(=積み上げる)の二つの自動詞・他動詞の対があり、なるが自動詞、ねるが他動詞という飛騨方言文法が成立します。他には、たばなる(=束の状態になる)、たばねる(=束の状態にする)、の対動詞があります。

注意が必要なのは、しとねる、は他の地域、お隣富山県、岩手などでは、だんごをこねる、という全く別の意味で用いられる事です。しっとりとこねる、から、しとねる、というのでしょうか。

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