大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
インゲンマメの飛騨方言 |
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私:インゲンマメはナマメともいい、マメ科の草本だ。飛騨方言では、ささげ。 君:ササゲはよく使うわよ。あれって共通語ではなくて、飛騨方言だったの? 私:とてもいい質問です。答えは、ハイでもあり、イイエでもある。 君:ではまず、ハイの説明からお願いね。 私:はい。おやじギャグ。 君:それはいいから。 私:失礼、実はササゲという名前の豆は存在する。飛騨の人達は、このうろ覚えの言葉・ささげ、をインゲンマメに用いるようになったという事。つまりは、飛騨の人々は日産車を見たことがなく、トヨタ車を日産と呼んでいる、というような例えになる。 君:なるほど、とんでもない間違いというわけね。但し、農家が栽培なさる豆の名前を皆様が何と呼ぼうが呼ばまいが、何の罪もない事だわね。 私:その通り。農政問題でもないし、学術語の事を論じているわけではない。飛騨の皆様が、ササゲという音韻でインゲンマメの事だね、という共通認識があれば生活語として立派に通用するという事。 君:へえ、面白い。つまりは全国各地にある方言だけれど、ササゲと呼ぶ地域は飛騨だけじゃないわよね。 私:その通り。それもとてもいい質問だ。ささぎ・ささげ・ささげまめ、などの音韻で全国各地の方言になっている。大阪では江戸豆という。江戸時代の各種資料に出てくる。インゲンマメの方言量はざっと二百くらいかな。これも書き出せば切りがない。本一冊に書けると思ってください。 君:割愛なさるのね。どこまで深い方言学なのか、といったところね。 私:左様でございます。 君:では、イイエの説明をお願いね。 私:ふふふ 君:えっ?・・・あっ、そうか。一本取られたわ。すでに説明済みね。つまりは、飛騨方言ですか、の質問の答えが、イイエ、という事は、ササゲは共通語である、と言う事。つまりはインゲンマメとは別の豆、ささげ、という豆があるという意味だから。 私:その通り。小学生を相手に方言学を教えると、そのような説明になる。お孫さん、おいくつ? 君:10歳よ。教えておくわ。 私:ところでインゲンマメの語源って知ってるよね。 君:インゲンと仰るお坊さんが中国からお伝えになったのでしょ。 私:その通り、と言いたいところだが、正確には、イイエ。隠元禅師が承応三年(1654)に中国からもたらした豆があるが、実はそれは、ふじまめ(藤豆)。また隠元は二種類の豆を持ち帰り、関東にはゴガツササゲを、関西にはフジマメを、それぞれ広めたともいわれている。肝心のインゲンマメについては、わかりません。御免なさい。 君:謝らなくてもいいわよ。それに佐七君は・・・関西ではインゲンマメの事を何故、エドマメ、というのか・・・についても説明してくれたのだし。ほほほ |
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