大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

イノコズチの飛騨方言

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私:イノコズチ牛膝はヒユ科の草本だ。文字通り、ゴシツとも言う。飛騨方言では、いのこどち。
君:うーん、聞いた事は無いわ。第一に共通語の漢字、牛の膝って、一体全体、どういう意味なのかしら。
私:とてもいい質問です。ヒントは牛の寝姿。立った姿ではなくて。
君:前足の事?後ろ足の事?
私:両方だろうね。膝の事を古語でなんて言うかな?
君:さあ。
私:よほろ。後世にはヨボロ、ヨオロ、などともいう。現代語としては死語かもね。そして膝の後ろの筋肉、つまりふくらはぎ、は古語では、よほろすぢ、と言う。

君:まだ結論が見えないわ。
私:いやいや。つまりは、よほろすぢ、からイノコズチ、になったんだよ。すぢ、から、ずち、へ。つまりはこれは連濁の法則。別名がライマンの法則。
君:でも、ヨホロからイノコになったわけではないのよね。
私:その通り。ヨホロは膝の事。スヂはスジ改め筋肉の事。ゐのこ猪の膝も牛の膝も見た目は変わらないという発想で、音韻としては猪、漢字としては牛の字を充て、そして、ずち、は、元々は、スヂ筋から来ている。これがイノコズチの語源。由来は、茎の節のふくらんだところを猪の膝頭に見立てたところからきているんだ。 俳句の季語は秋。
君:結構、複雑なのね。
私:飛騨方言はイノコズチの単なる訛り。飛騨方言では更に訛って、いんのこどっち、と言う事もある。
君:その変化も、どっちかと言えばわかりやすいわね。ほほほ

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