大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

イヌツゲの飛騨方言

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私:イヌツゲ犬黄+げ(NB 偏旁冠脚は木の偏+易(旁)、Shift_JISでは文字化けする漢字)・柞木、別名ヤマツゲはモチノキ科の常緑低木。飛騨方言では、やどみ。
君:うーん、聞いた事は無いわ。
私:飛騨といっても山林農家ばかりとは限らない。旧高山市は歴とした城下町。そんなところに生まれ育った子供には関係ない言葉だね。まあいいや、庭木ともされるんだがなあ。もっともね、園芸も人によって好き好きだしね。
君:佐七君は山林農家の子供だったからなのね。それに園芸なんか、やってるのかしら。
私:都会は秒刻みのあわただしさ。恋もコンクリートの籠の中。無関係だね。但し、我がもうひとつの心の故郷・名古屋と言えば、東山公園という市民の憩いの場がある。他には守山区の森林公園とかね。モリコロパークも。
君:脱線してるわよ。今日は飛騨方言・やどみ、の語源についての考察をお書きになりたいのでしょ。
私:えっ、よくわかったね。まさにその通り。然も語源なんて簡単な事。日本植物方言集成という書物をちょいと開けばいいんだよ。それと角川古語大辞典全五巻。この二つは必須。言っている意味、わかるよね。
君:ええ、わかるわ。日本植物方言集成には全国の方言が羅列されているので、やどみ、にちなんだ音韻がわかるし、角川古語大辞典にはそれに相当する古語が記載されていた、という事なのよね。
私:なんだ、わかっているじゃないか。まさにその通り。日本植物方言集成によれば、やどみ、と話される地方が結構、多い。それに、やずめ、やとめ、やどめ、などの音韻で話される地方もある。然も、やどめ、の話される地方が一番にに多い。そしてダメ押しが角川古語大辞典。やどめ矢留。名詞。矢の射撃を停止させること。転じて休戦の意。
君:うーん、よくわからんいわ。
私:やどみ、は昔は蚕のまぶしに利用した。常緑低木、つまりは矢を通さないほどに葉がビッシリと生えた木。だからヤドメ。これが転じて、飛騨方言ではヤドミ。つまりは形・機能からの発想で生まれた言葉。
君:なるほど、方言って素朴で発想が単純なのは誰にも理解出るけれど、でも古語について精通していないとダメという事かしらね。
私:いや、そんな事は無い。精通する必要はない。要は手元に置いておくこと。極めてマニアックな世界だから、ネット情報は皆無に近い。つまりは方言の研究のためには古書を買い漁れという事。
君:変わった情報収集の世界があるのね。あまりにも浮世離れしているわ。
私:でも、結構、面白いよ。要は、語源探しは脳トレ。
君:なるほど、七十代に最も必要とされる生活習慣ね。さあて、私も何の脳トレをしようかしら。ほほほ

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