大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
カエデの飛騨方言 |
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私:カエデ楓・鶏冠木はカエデ科の木本。紅葉するとモミジといい、日本を代表する木。飛騨方言では、はなのき。ただし、はなのき、が記載されているのは"くぐのの唄と祭ばやし"・昭和61年刊行、のみ。但し、カエデをハナノキ花木と呼ぶ地方は結構、多く、青森、岩手、秋田、山形、群馬、新潟、富山。つまりは、ハナノキは全国共通方言。 君:久々野町だけで話されるハナノキという方言だけれど、決して卑下する必要は無いのね。 私:勿論だよ。モミジを見てハナノキと言う。人間の素朴な感情だ。あまり説明の必要はあるまい。強いて言えば・・ 君:強いて言えば? 私:ハナの形で何かほかのものをなぞらえる方言の多い事。各種の資料にはそんな情報であふれている。ハナノキになぞらえる木本は多いし、ハナになぞらえるものと言えば、一言では説明が出来ない。 君:なんとなく想像は出来るわ。ところでカエデって和語なのよね。 私:おっしゃる通りです。和語。万葉集にもある。ただし、カエデの古名は、かへるで。 君:あら、そうなのね。かへるで、ってどんな意味なのかしら。 私:かえる蛙+て手。つまりは葉の形が蛙の手に似ているからです。万葉集は1623と3494にある。当然ながら二首とも恋の歌。万葉集、万歳!かへるで、が、かへで、になったのが平安朝時代。以後、現代に至るというわけだ。カエデの方言量は驚くほど少ない。地域は割愛するが、あおすだれ、いたや、いたやもみじ、おがつら、はいた、はな、はないたや、はなのき、やまもみじ。たったこれだけ。蛇足ながら、楓の字は元々はカツラを意味するが、カヘデの当て字になってしまったのが日本語の歴史というわけ。ぶっ 君:三拍品詞にもかかわらず平安時代から音韻がびくともしていないのだから、カエデもなかなかに強か(したたか)な音韻なのね。あえてお書きすると、連母音融合から母音の脱落に至り、カデ、という二拍品詞にならなかった、という意味ね。ほほほ |
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