大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

カンショの飛騨方言

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私:カンショ甘藷 Ipomoea batatas はヒルガオ科のつる性多年草。飛騨方言では、さつまいも。
君:さつまいも、は共通語でしょ。納得いかないわ。
私:ははは、ごもっともなご意見だ。ここは日本語のお遊びの場所であるし、広く国民の皆様に、日本語とはなにか・方言とはなにか、をお考えいただく場であるとご認識いただきたい。
君:なによ、その言い方。慇懃無礼というものね。嫌われるわよ。
私:御免、そんな気持ちじゃないよ。皆様に話したくて仕方ない。それだけの事。ところで、江戸時代に鹿児島県、つまり薩摩の国から全国に伝わった芋だから、全国的にサツマイモである事は、皆様がよくご存じだろうね。役者がおひとりいらっしゃる。誰?
君:農民よ。
私:その通り。法隆寺を建立したのは聖徳太子ではなく、当時の大工さん。では農民に推奨したのは誰?これはもう日本史の問題。
君:おっとそうきたのね。
私:答えは青木昆陽。江戸時代中期の、幕臣御家人、書物奉行、儒学者、蘭学者。サツマイモの普及を図り、甘藷先生と呼ばれる。甘藷は漢名だ。当時の中国の正式名。中南米原産だが中国・沖縄・薩摩を経て全国に広まった。救荒作物の代表選手。前置きはさておき、鹿児島県ではなんと呼ばれている?
君:サツマイモが答えではない、という意味ね。だとしたら、琉球芋かしら。
私:惜しいね。鹿児島県ではカライモ唐芋だ。九州全域といってもいいかな。
君:なるほど。
私:それじゃあ、甘藷の事を江戸では何と読んだかな。
君:これはもう、サツマイモで決まりね。
私:残念ながら完全正解ではない。正しい答えは、さつま。
君:なるほどね。
私:話はそれだけに終わらない。さつま、の音韻で出てくる植物といえば、小学館日本方言大辞典には数種類の記載がある。さつまうり薩摩瓜を含めると更に数は増える。蛇足ながら、サツマイモの方言量は約三百。国研地図に詳細があるが、それも一部分。詳しくは日本植物方言集成を見るに限る。
君:果てしのない日本語の世界ね。
私:おっしゃる通りです。だから、ここはひとつ、漢名でいくしかない。だから甘藷。ぶっ
君:なるほど、そういう意味ね。
私:いやいや、やはり植物学とくれば、学名、つまりはラテン語でいくしかないな。 Word origin of the word ipomoea is from new Latin, from Greek ips worm + homoios like. The word batatas means a potato.
君:ほほほ、ラテン語の意味がわかったわよ。虫が大好きなポテト、という意味だったのね。
私:甘藷は英語ではスイートポテトでしょ。
君:なるほど、ラテン語以前の問題ね。でも佐七君が痛恨のミスね。スイートポテトは英語ではなく、日本語よ。ほほほ

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