大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

コシアブラの飛騨方言

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私:コシアブラ漉油はウコギ科コシアブラ属の落葉高木。学名は Chengiopanax sciadophylloides。別名、ゴンゼツ金漆。原産地は中国、日本海側に広く分布する。飛騨方言では、コンゼツ・ゴンゼツ。
君:コシアブラの語源は簡単ね。アブラ油を漉す、という意味ね。
私:その通り。古くは樹脂易を漉してゴンゼツ金漆という塗料用の油とした。方言量はざっと百五十。結構、多い。
君:古くといっても、どれくらい。
私:おそらくは太古からだろう。奈良・平安時代には、木、革に塗ったり、鏃(やじり)の固めなどに用いた。
君:飛騨方言はコシアブラの古名、異名というわけね。
私:そう、全国共通方言というわけだ。
君:金漆って当て字かしら。
私:そうでもないと思う。意味はあっているし、きんしつ、こんしつ、こんしち、ごんぜつ、などの読みを与える事もある。つまりは、こんしち、から始まり、各種の音韻に分化した、と考えるほうが素直じゃないのかな。
君:文献はあまり多くないのでしょ。
私:うん。それに金漆と書かれているだけじゃ、何という読みを与えたのか不明だしね。取り留めのない話だ。角川古語大辞典には、こむしち、がある。コンは呉音。
君:しっき漆器というくらいだから、しつ漆、じゃないかしら。
私:うーん、どうかな。角川古語大辞典によれば、しち七・漆。漢数詞の一つ、回数の多い事や、めでたい事など、色々の意味を持っている。神道に天神七代、仏教に七宝しちはう、その他、七情など。
君:古くは、七宝しちはう、だったのかしら。
私:その通り。しっぽう、というようになったのは中世以降。
君:漆は、しち、で決まりにて、ラッキーセブンというわけね。ほほほ

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