大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

オヒョウの飛騨方言

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私:オヒョウはニレ科の木本。北海道に多いが本州にも。飛騨方言では、にれ・ねれじな。ねれじな、は、にれ、の訛だが、白川郷と五箇山、黒部あたりの方言で、つまり地域共通語。
君:オヒョウとニレの違いは?
私:にれ楡は相称なんだよ。日本のニレには大きく分けて、オヒョウ・アキニレ・ハルニレ、この三種がある。オヒョウとハルニレが北方系で北海道が中心。飛騨は北方系。そして飛騨ではオヒョウを単にニレと呼ぶ。オヒョウをニレと呼ぶ地方は福井、飛騨、岡山、広島、香川、埼玉、新潟、長野。つまりは全国に散らばっている。理由はひとつ。
君:とは?
私:葉の形で区別するが、ニレ科は落葉高木。葉が落ちた後は、つまりは秋から春は皆、似たような木。あれこれ混同があっても不思議ではない。オヒョウの古名もいくつかあり、あつし、あつに、おひょうにれ、など。
君:ちょっと、やめてよ。おひょうにれ、とは、聞き捨てならないわよ。
私:おっしゃる通りです。実は、おひょう opiew 、はアイヌ語。和語としては、にれ。万葉3886。つまりは、おひょうにれ、はアイヌ語+和語の複合名詞。
君:なるほどね。つまりは飛騨方言はアイヌ語起源の言葉ではなく、和語のみが現代語として生きてきたというような意味かしら。
私:何も文献もないし、とりとめのない話。若しかして、程度のお話だ。
君:現代語としては、やはり、ニレ、かしらね。あなたに言われなくてもわかるわよ。おひょう及びその音韻変化があるのは北海道と東北、つまりはかつてはアイヌ文化が支配していた地域という事なのよね。そんな事が日本植物集成には書かれてあって、方言の勉強が好きでたまらないあなた。ほほほ

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