大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

オキナグサの飛騨方言

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私:オキナグサはキンホウゲ科の草本にて本州では低山地に自生する。万葉集では、ねつこぐさ。巻十四 東歌 3508「芝付(しばつき)の御宇良崎(みうらさき)なるねつこぐさ あひ見ずあらば 我(あれ)恋ひめやも」飛騨方言では、かっしき・けわけわぼぼ。
君:現代語訳は?
私:芝付の御宇良崎に生えているネツコグサのような、あのこ娘に逢わずにいたら、わたしはこうも恋い慕ったりしようか。つまりは、・・・あのこが僕の恋心のスイッチをオンにしちゃったんだ。ああ、どうしてくれるんだよう・・・と海に向かって叫ぶ、ってなところですかね。
君:ほほほ、あなた、それよくやるの?
私:ええ、しょっちゅうです。
君:そんな事はいいから、飛騨方言・かっしき、の語源について、何かわかったのかしら。
私:実はオキナグサの方言量は多い。ざっと二百。とても書ききれない。但し、注目すべきは、かっしき、は飛騨のみ。かっちき、は飛州と埼玉(入間)。そして、かっちきじょーろ、が東京(八王子)。つまりは江戸時代に江戸から飛騨にもたらされた言葉ではないだろうか。
君:ほほほ、江戸時代に飛騨は天領だったから、という論法ね。
私:まあ、そんなところ。
君:でも、何も証拠は無し。語源も不明ね。ほほほ
私:いやいや。
君:えっ、なにか語源の候補でも?
私:かっちき、って一体なんだと思う?ヒントは連用形。
君:なるほど。動詞かっつく、動下下二、つまりは、かきつく、の連用形ね。連用形促音便なら如何にも江戸っ子の言葉なのよね。いかにもありそうな話ね。
私:まあ、しいて言えばそんなところだ。
君:でも、何も証拠は無し。残念ね。
私:その通り。残念だ。でも、もうひとつの飛騨方言・けわけわぼぼ、については、語源は簡単だね。
君:ほほほ、これは擬態語で決まりね。
私:その通り。花がフサフサだからね。これをケワケワと表現しているわけだ。そして、ぼぼ、は飛騨方言では赤ちゃん。サルボボは猿の赤ちゃん。まねしぼぼ、などという飛騨方言もあるが、なんでも大人の真似をする赤ちゃんの意味だ。
君:けわけわぼぼ、は誰が考えてもオノマトペに間違いないのだから、いいじゃゃないの。ほほほ

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