大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
ササゲの飛騨方言 |
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私:ササゲ大角豆はマメ科の一年草。アフリカ原産のものが中国を経て渡来。蔓の短くて大豆のような地ささげ、蔓の長い籬(かき)ささげ、の二種類がある。季語は夏。子の数により十六ささげ、更に十八、二十五を冠する事もある。ささげ、の異名が、ささぎ。飛騨方言は、ささぎ。 君:ほんのちょっぴり訛っているだけの話じゃないの。 私:その通りといいたいところだが、そうではない、というのが結論。方言学というものは、日本語を理解するのになかなか味わい深い学問なんだ。まずは方言学と言えば方言量。ささげ、に関しては実に多い。ざっと二百くらいかな。ただし、際立った点がひとつあるとすれば、ささぎ、が広域方言で最大派閥なんだ。 君:広域といっても、例えば東北に多いとか、西側に多いとか、少しは偏りがあるでしょう。 私:ははは、それが実は違うんだ。全国津々浦々といったところ。 君:なるほどね。つまりは日本人の舌が自然にそのように訛るからという事で、つまりはちょっぴり訛って、ささげ、という事に帰結するんじゃないの? 私:語源というものを考える場合、これはもう文献が全て。ささぎ、は玉塵抄 [1]に出てくる。玉塵抄は室町時代の抄物の一つ。惟高妙安著。さてさてその一方で、ささげ、を見ると、正倉院文書・天平年の写経に、佐々気、が出てくるんだ。 君:あらあら、最古の日本語が、佐々気、で、その後が大角豆というわけね。 私:うん、わかっているのはそういう程度の事で、古代に、ささき、と呼ばれていたのか、ささけ、と呼ばれていたのかは不明。 君:佐七君としては、天平の音韻は、ささき、にて、それが今も飛騨方言の音韻・ささぎ、に生きているのでは、と思いたいところよね。 私:その通り。日本語ロマンと申しましょうか、飛騨方言ロマンと申しましょうか。万葉仮名、上代特殊仮名遣いの世界の事を考えていると、あっという間に時間が過ぎていく。 君:どうでもいい事よ、なんて言ったら、私、あなたに怒られちゃうわね。ほほほ |
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