大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

ツノハシバミの飛騨方言

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私:ツノハシバミ角榛はカバノキ科の落葉低木。飛騨方言は、かしまめ。
君:つのはしばみ、は、はしばみ、とは違う木本なのかしら。或いは同じ木の異名かしら。
私:両者は違う木だ。中学、高校あたりの生物学のおさらいと行こう。つまりはリンネの植物分類学のおさらい。生物種は、界・門・綱・目・科・属・種、に層分類される。植物界において、つのはしばみ Corylus sieboldiana、と、はしばみ Corylus heterophylla、の違いは種の違いです。形態的に決定的な違いは果実。ツノハシバミは角状だが、ハシバミはそうではない。ご興味ある方は図鑑をどうぞ。蛇足ながらツノハシバミの異名は、ながはしばみ。果実の角状の形からきた言葉である事は書かずもがな。
君:ここでは、日本語の事だけを議論しましょう、という事ね。
私:その通り、ツノハシバミの方言量は50くらいかな。飛騨方言・かしまめ、だが、全国の広域方言だ。語源は明らかだと思う。
君:あら、そんな言い方無いわよ。ヒントをお示しなさらなきゃ。
私:そうだよね。八坂書房・日本植物方言集成によれば、類似の音韻としては、かしのみ、かしば、かしばのみ、かすばみ、かたばみ、くわしばみ、くわしば、くわしまめ、辺りかな。これがヒントだ。
君:なるほどツノハシバミの音韻の中のハシバミ部分だけの、更にそれの子音の交替というわけね。
私:まさにその通り。その一方で、ハシバミ榛、の方言で、かしまめ、という地方もある。秋田の鹿角、新潟の長岡。これも子音の交替でそうなったのだろうね。
君:聞き間違いと言い間違いの連鎖で生まれる方言、それがカシマメ(=ハシバミ)というわけね。ほほほ

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