大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

ウワバミソウの飛騨方言

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私:ウワバミソウ蟒蛇草はイラクサ科の多年草だ。全国各地に自生する。茎も葉も食用。飛騨方言では、たにふたぎ。
君:ウワバミって大蛇の事よね。
私:うん。古事記に出てくる。小さく尋常なるものは、くちなは久知奈波。やや大きなるを、へひ幣毘。なほ大きなるを、うはばみ宇波婆美。きはめて大なるは、じゃ蛇。
君:ヤマタノオロチはさらに大きいのかしら。
私:そう。大蛇の事を、をろち、という。竜に近いね。
君:ウワバミは、やや大きめの蛇ね。
私:その通り。ウワバミソウ程度という事かな。詳しい語源については不明という事かな。各地の山中で湿った斜面に群生しているので、飛騨方言の語源としては、谷を覆うように群生しているさま、という事でいいかと思う。ウワバミソウの方言量は三十程度で、決して多くない。一番に多いのが、ミズ・ミズクサ・ミズナ、なのでこれが古代の呼び方だったのかな。たにふたぎ、は飛騨地方だけ。従ってひだの俚言。
君:共通語では、ふさぐ他ガ五、これが飛騨方言では、ふたぐ、になるのよね。
私:ははは、なんて言い方だい。ふたぐ、って立派な古語だぜ。
君:古語?
私:ふさぐ・ふさがる、が訓読文に用いられる事が多いのに対し、ふたぐ系は平安時代の仮名文で多く用いられた。ふたぐ、は他ガ四活用と他ガ下二活用があり、源氏物語などは下二活用。来年のNHK大河ドラマ・紫式部をよろしく。
君:これって、ふた蓋、が語源かしらね。
私:一部の語源辞典にはそのような記載がある。つまりは真実は、・・・わかりません。
君:でも、平安時代の言葉、ふたぐ、が飛騨方言にのみ残っているのは痛快ね。ほほほ

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