大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

ウワズミザクラの飛騨方言

戻る

私:ウワズミザクラ上溝桜・上不見桜はバラ科の木本だ。別名はハハカ。全国各地に自生する。飛騨方言では、ねずら。
君:日本古来の木かしら。
私:日本と中国に自生するらしいね。北海道にも自生している。別名ハハカに大変な意味がある。
君:ハハカって聞いた事がないわね。
私:ははか波波迦はウワズミザクラの古名。実は波波迦はは古事記に出てくる。天岩屋戸の段に〈天香山の真男鹿(まおしか)の肩を内抜きに抜きて,天香山の天波波迦(あめのははか)を取りて,占合(うらない)まかなはしめて・・という事で、波波迦はとても神聖な香木だったという事。
君:さくら桜という言葉も古いのでしょ?
私:古いなんてものじゃない。桜は日本書紀に出てくる。日本の固有種。押しも押されもせぬ立派な日本を代表する花。万葉集では外来種・うめ梅に人気を奪われ三位だが、ちなみに一位は萩、桜は平安時代あたりからはぶっちぎり一位の人気の花で、今日に至っている。
君:なるほど。ははか波波迦の言葉は廃れてしまって、うわずみ+桜、の複合名詞にとって代わられたという事ね。
私:その通り。
君:うわずみ、の意味は?
私:うーん、よくわからないな。はっきりしていることと言えば、サクラの仲間であるが、サクラらしからぬ白い小さな花が房状にたくさんつくが、ウワズミザクラの葉は桜の葉にそっくりだ。同属という事だね。
君:花の時期以外は似通った木という意味ね。
私:左様でございます。
君:飛騨方言ねずら、の意味は。
私:簡単に一言でいうと、わかりません。但し、鳥取方言では、ねずみざくら。この辺りかもしれない。だが、これも鵜呑みにしてはいけない。ウワズミザクラの方言量はざっと百以上だが、みずみ・みずみざくら、あたりが最大派閥。つまりは飛騨方言ねずら、は、ミズミザクラがネズミザクラ、そしてネズラ、と言うように変化したのじゃないかな。
君:なるほど。当たらずと言えども遠からず。語源というものは必ずあるはずだから、あれこれ考える事は良い事ね。ネズミが語源ではなく、みずみずしい桜という意味だったようね。ほほほ

ページ先頭に戻る