先ほど古語辞典を例によって、やぶにらみをしていて
びっくり仰天してしまいました。
つめ〜、つま〜、という単語が実に多く、つまりは、
つめ、という名詞は和語そのもの、縄文時代の
飛騨人だって、つめ、という単語を
使っていたのかも知れません。
実は筆者はつい先ほどまで長らく、つべたい(=冷たい)、は、
つべたまし、が訛った言葉かと考えていたのですが、
とんだ間違いでした。実は、佐七辞書・つべたい、は
当サイト発足当初の原稿です。当時は手元に語源辞典の
ひとつもなく、古語辞典のみを片手に、めくら素人が
ヘビに怖じず、書いていたのでした。
でも、例え語源辞典がなくとも
ちょいと考えればすぐ判る考え違いをした。
うかつな筆者が何故、間違えてしまったかを以下に記載します。
理由は、古語名詞・けぶり、です。古語名詞・けむり、は、けぶりの転、
との記載もあります。つまり、飛騨方言・けぶたい、は
歴史的音訓を現代に残すものなのです。
筆者が飛騨方言・けぶたい、に酔いしれるお気持ちを
汲んでください。
これの発想で、古代の飛騨人は、つべたい、といっていたので
あろうが、古語・つべたまし、という言葉からの派生、
つまり語の脱落現象、と想像してものを書いてしまっていた、
というのが顛末です。事実は逆で
中央 飛騨
古代 つめたし つめたし
現代 つめたい つべたい
中央 飛騨
古代 けぶたし けぶたし
現代 けむたい けぶたい
という事ですね。
万葉の時代から、あるいはもっと古くから、飛騨方言では、
けぶたい、と言ってきた事が感慨ですが、
飛騨方言では何故、つめたい>つべたい、と訛ってしまったのでしょうか。
またその時代はいつでしょう。
またまたかってな想像ですが、けぶたい、という形容詞につられて、
つべたい、と言うようになってしまったのでしょうね。
( つめたい、っていう言い回しゃあ、なんとのう、よそよそしいぞ。
飛騨方言なら、つべてえ、っていわにゃだしかん。 )
という訳です。また、つべたい、に訛ったのは、上代でしょうね。
けぶたし、と言っていた古代に既に同じく、つべたし、と
言っていた可能性もありましょう。
さて別問ですが、さぶし・さむし、どちらが古い?答えは、さぶし。
さぶし、は万葉です。さむし、は万葉〜江戸です。
つまり中央では、さぶし>さむし、
と変化しつつ、意味も広がったのです。
飛騨方言でも、さぶい、といいますが、ふーむ、意味は広がったの
でしょうか。
中央 飛騨
古代 さぶし さぶし
近世 さむし さぶし
現代 さむい さぶい
なんだか知らないけれど飛騨方言の形容詞は、バ行音が
好まれる、というお話でした。
なんでもかんでも知った事をすぐに書く、これが
このサイトの良いところ。しゃみしゃっきり。