大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

飛騨方言の動詞/なくす・失う、について思う事

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辞書を作成して、ふと気づいたのですが、失う、なくするという意味の方言動詞がいくつもありました。 失う、がなまった言葉で、うしなえる、うしなかす、うしならかす、の三語です。 なくする、がなまった言葉で、のうならかす、のうなる、の二語です。合計、五つの動詞がありました。 かたや、みつかる、みつけるという共通語に相当する飛騨方言の動詞はゼロです。

例えば飛騨方言では、うしなえる、という動詞があるので、みつかえる、あるいは、みつかれる、という 対応する動詞があってもよさそうな感じがするのですが、実際には存在しません。

飛騨方言では、うしなかす、という動詞があるので、みつかす、みっかかす、あるいは、みつなかす、という 対応する動詞があってもよさそうな感じがするのですが、実際には存在しません。

飛騨方言では、うしならかす、という動詞があるので、みつからかす、みつならかす、あるいは、みつけらかす、 という対応する動詞があってもよさそうな感じがするのですが、実際には存在しません。

飛騨方言の、のうならかす、とは、なくならかす、が訛ったことばです。 また、なくて、の逆の意味は、ありて、という事になりましょう。従って、飛騨方言では、のうならかす、 という動詞があるので、ありならかす、ありからかす、あるいは、それの訛った言葉の動詞、という 対応する動詞があってもよさそうな感じがするのですが、実際には存在しません。

飛騨方言の、のうなる、とは、なくなる、が訛ったことばです。 従って、飛騨方言では、のうなる、という動詞があるので、ありなる、ありける、あるいは、それの訛った言葉の動詞、という 対応する動詞があってもよさそうな感じがするのですが、実際には存在しません。

結論ですが、飛騨方言では、失う、なくす、の反対の概念は、見つかる、見つける、という事ではなくて、 失わない、なくさない、という事なのでしょう。
うしなえる(他)   <−> うしなえん(他、失わない) 
うしなかす(他)   <−> うしなかさん(他、失わない)
うしならかす(他) <−> うしならかさん(他、失わない)
のうならかす(他) <−> のうならかさん(他、なくさない)
のうなる(自)     <−> のうならん(自、なくならない) 
                        のうならんようにせる(他、なくさなくする)
また、飛騨方言では、みつかる、の反対は、みつからない、みつける、の反対は、みつけない、という事になります。ホントかな。
みつかる(自)     <−> みつからん(自、みつからない) 
みつける(他)     <−> みつけん(他、みつけない) 

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