共通語のアクセントを小学校で教育しているのか、
検討もつきませんが、筆者の体験では何も覚えなし(1960-66)。
朗読の時間、読書コンクール、作文発表、等々あったのですが、
ふーむ、覚えがありませんね。
飛騨は東京式のアクセントなので、特に児童らを矯正する
必要はない、という岐阜県の教育界の暗黙の了解があったのでしょう。
ところで数日前に入手した、奥村三雄編・(増補改定)岐阜県方言の研究、大衆書房、
を読みました。
飛騨方言を記載した幾つかの書がありますが、
この書は音韻の記載が多く、飛騨方言資料としての貴重さは別格です。
例えば
- 神岡町茂住あたりは富山県猪谷のアクセント体系に似る。
二拍名詞では、平板 歌・音・胸・池・腕・草・・・、に対し、
頭高 石・紙・犬・足・夏・髪、という。
- 飛騨方言の疑問詞は なに▼○、これは美濃の平板アクセントと
対立する。
- 飛騨南部では三拍名詞の中高傾向が著しい。
高山あたりでは三拍名詞はむしろ平板化する。
- すな砂、は、高山はじめ飛騨の大部分では平板。
ただし上宝村一重ケ根と高根村日和田では尾高。
可茂郡白川町以南も尾高の傾向がある。
- げた下駄は旧高山市内は平板なれど、飛騨各地では
むしろ尾高が多い
とまあ、ざっとこんな調子で続く同書ですが、やはり飛騨は広いから、
飛騨の各地でアクセントがやはり微妙に異なっているのですね。
私のような方言と音韻好きにはたまらない書というわけです。
共通語のアクセントというものがあるはずだから、
やはり間違った言い方をする児童は学校教育で
教えるべきなのでしょう。
子供は知らないのですから、大人が教えてあげる、
当たり前の事ですね。
このあたりの重要性が以下の書に詳説されています。
都竹通年雄著(平山輝男 序・山口幸洋 解説)
都竹通年雄著作集第1巻、音韻・方言研究篇、ひつじ書房
第一部 音韻研究篇
第二部 アクセント研究篇
第三部 音声教育篇
第四部 方言区画論篇
まずは、第三部 音声教育篇のご紹介でした。
佐七の事ですから、先生のおっしゃる事は直ぐに
覚えると思いますが、休み時間になると、
やくと(*)あくれて(**)共通語・飛騨方言のアクセントを
織り交ぜて、つまりは先生ごっこで遊ぶのでしょうが。
友達を笑わせる自信はありますが、
みつかると職員室に呼ばれるのでしょう。
(*)わざと、(**)ふざけて