大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 方言学<

してみえる尊敬表現に関する一考察(2)

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別稿・名古屋の尊敬表現・みえるの通りですが、飛騨人が知らずに使用している方言の言い回しである事をお書きしました。実は他ならぬ筆者自身が方言と意識せずに今まで使用して次第です。また生まれも育ちも名古屋の家内は、これが名古屋の言い回しである事を聞かされ、一瞬キョトンとしてしまったのでした。

本稿は筆者の内省結果という事で、そう言えばこのサイトを始めて二千ファイルばかり文章を書いたので、それらの中にどの程度、この字句が含まれているか検索してみました。データはハードディスク内ですから全文検索はウインドウズの標準機能を用いればよく、さしたる技術は要りません。

結果ですが、やはり、と申しますか、佐七は知らずに相当に使用していました。字句としては、以下のようなものです。共通語を併記しましょう。
飛騨方言   共通語
みえます   おられます
みえました  おられました
みえるのです おられるのです
みえましょう おられましょう
これ以上にあれこれ記載する事は止めにして、普段、何気なく使用している言葉が共通語と思いきや、実は名古屋方言であった、それにしても気づかずによく使っていたものです。

全ファイル中、みえました、の言葉が使われたファイルが十ばかりありました。せっかくだからという事で、おられました、に変換してアップロードしました。みえます、を使用したファイルは六十余もありました。こちらは、おられます、に修正する気力が萎えてしまって、結局は無修正としています。えい、かまわぬものですか。

歴史に若し、はありませんが、筆者が義務教育九年間の間にたった一回だけでも国語の先生から、
ええか、わりだちゃいっつも使っとる言い回し・〜みえる、は方言なんやで、作文する時ゃあ書いてゃあだしかんぞ。正しくは、おられます、って書くんやでなあ。テストもなあ、〜みえる、って答えの欄に書いてまうと減点やぞ。しゃべるねも気をつけれよ。でねえと、東京行って笑われるぞ。
とでもお聞きしていればよかったのでしょうかネエ。聞いた覚えは、ハイ一度もありません。否、佐七の恩師の方々は実は、
東京で、〜してみえる、という言い方をすると一部の人に笑われるかも知れないけれど気にしないようにね。実は名古屋の人は皆が平気で、〜してみえる、とおっしゃるのですよ。若し飛騨の出身である事に引け目を感ずるなら、
僕は名古屋の出身です
とでも言っておけばよいのです。名古屋の言葉なら全国どこでも使えるでしょ。
暗にこのように言ってみえたのかも。(また使った!)

結論ですが、本人が方言と意識していない方言の言い回しに気づくのは至難であるが、方言学・言語学にとってこれほどの題材は無いでしょうね。

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